洋服作りを掻き立てたもの

June 1, 2020

アトリエを借りて一年が過ぎウェア作りもなんとか2シーズン目。まだまだやるべき課題が山積みです…さて、そんな“洋服を作ってみたい“という思いはいつ頃からだろう?遡れば思い当たるのは母のこと。思えば私が小さい頃に着ていた洋服はそのほとんどが母の手作りでした。胸にシャーリングの入ったブルーのスモックやチューリップ柄が編み込まれたニットワンピース。小学校の入学式、卒業式のスーツに至るまで。ミシンの傍に積まれた生地が形になるのをよく眺めていたものです。細かい手作業のディティールは今でも鮮明に記憶していて、母はもちろんデザイナーではないけれど作るものは今思い出してみても決して古臭く感じる事はない。着る人を想像したり作りながら変えてみたり、時には素材の思い通りに任せてみたり、そんな風にデザインは形作られていくのではないかと感じます。

好きなファッションは?

30代の頃、夢中になった映画のヒロイン、ミア・ファロー。彼女のファッションに魅了されストーリーは二の次にシーンごとの洋服の一つ一つを見るのが楽しみでした(ウディ・アレンと結婚するずっと前の頃、1960年代)妖精のように不思議な魅力を漂わせ個性的で洗練されたスタイルはどこか色気のある少女のようでいて時に無垢な少年のようにも見える。掴めない曖昧さが魅力なんだ!

1967年のLIFEに彼女のプライベート写真が紹介されています。そこには映画やファッション雑誌を飾った華やかなものではなく、くたびれたニットとスラックス。私はこの写真がとても好きでこれが上級スタイリッシュだと今でも思っています。素敵な服を着れば素敵になれる訳ではありません…素敵な人が着て洋服は生かされるのかもしれません。それは自分に似合うもの、変わらず好きなものを持つ人ではないかと。

と、いろいろ考えると洋服作りって難しいのですね。。今はとにかく楽しんでいますので。

 

1967年刊行のLIFEに掲載されたミア・ファロー